チェルノブイリ法のゾーン区分と日本の比較表

 

 

解説

チェルノブイリ事故後のベラルーシ、ウクライナ、ロシアでは国家をあげて土壌汚染調査を行い、事故から5年後に法律=いわゆるチェルノブイリ法が制定されました。
チェルノブイリ法の特徴として、空間線量と土壌汚染の双方を基準に避難・補償・保養などの区域(ゾーン)が決められていることが挙げられます。

日本では空間線量のみの基準しかありません。

しかもその基準は年間実効線量でみると、チェルノブイリ法では「移住の権利」が発生するゾーンが1ミリシーベルト超であるのに対し、日本では20ミリシーベルト超であり、20倍もの高い基準です。それを下回る区域については、年20ミリシーベルト以下となることが確実であると確認される「避難指示解除準備区域」と、線量による地域区分がない「避難指示区域外」の2つの区分しかありません。

チェルノブイリ法において特筆すべきことは、土壌放射能量と実効線量の双方が条件を満たす場合(and)と、どちらかがその基準を満たせば効力を持つ場合(or)があることです。これにより、「移住が義務となるゾーン」は、年5ミリシーベルト超または約23,000ベクレル/Kgのどちらかを満たせば効力があるという基準になっています。
日本の年20ミリシーベルトまでを許容としている考えの1/4の値で、移住が義務となっているチェルノブイリ法を、日本政府がなぜ踏襲しなかったのか疑問が残ります。

ちなみに、現在日本では「内部被曝」がまったく実効線量としてカウントされていません。

 

 

労災では、年5ミリシーベルトで認定された例も!

現在の日本の避難基準では、年20ミリシーベルト以下なら帰還準備区域になってしまいますが、原発などで働く方の労災基準においては、「年平均5ミリシーベルト以上の被ばく」と「被ばく後1年以上経ってからの発症」が基準になっています。

嶋橋伸之さんの例をご紹介します。

浜岡原発の高汚染区域である原発炉心の燃料の間に挿入されている中性子を計測する装置、「インコア・モニター」の保守・点検・管理を担当していた嶋橋伸之さん。

1980~1989年の10年間被ばく労働に従事した後、入院。29歳の若さで1991年に白血病で亡くなりました。
ご家族が没後、1993年に労災申請し、1994年に労災認定されました。

嶋橋さんの累積被ばく線量は50.93ミリシーベルト。10年間勤務のため、年平均換算すると5ミリシーベルトになります。被ばくによる労災認定に明確な基準があるのはがんでは白血病のみです。
「年平均5ミリシーベルト以上の被ばく」と「被ばく後1年以上たってから発症」の2点を基点に、他のがんは厚労省の検討会が判断することになっています。

 

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