東日本土壌ベクレル測定プロジェクトの概要

 

土壌プロジェクトは、2014年10月〜2017年9月までの3年間に渡り、東日本17都県の土壌採取を市民のみなさんに呼びかけて実施していただき、みんなのデータサイト参加測定室でベクレルで測定を行ったプロジェクトです。

その測定結果を地図化することで、東日本に広く分布するセシウムを可視化することを目的として行われました。
のべ4,000人の皆様に、3,000ヶ所以上の採取をして頂きました。

下記の「参考:土壌採取の方法」にもありますように、採取の場所をルールに則って選定して頂き、以下のような項目に注意を払いながら、採取して頂きました。

1)多めの土を採取する。
※ 測定器は1リットルの検体をきっちりと詰めて測ることが鉄則。
※ 隙間があると密度が一定にならず、正確な測定が出来ないため、1リットルのマリネリ容器に詰める量が確保されることが必須。
※ 土には、小石や枝、植物の根っこ、ミミズ等、色々な物が混ざっている。乾かし、ふるいにかけてこれらの物を除いて減る分量を差し引いても、「1リットルに足りる」という量が必要。
※ 各地の土は、大抵二度と同じ場所に取りに行けないので、重くても多めに採取する。
2)土を乾かす。
風の吹いていない晴れた日に、天日で乾かす。
3)ふるいにかける。
最初のふるいは粗めに、段々ふるいの目を細かくして、出来るだけさらさらの土にしていく。土が粒状で硬くなっている場合は、広げて、スコップなどで根気よく潰していく。

非常に注意が必要で繊細な作業を、ひとつひとつの箇所で実施して頂きました。

当初は「ご自分の気になる地区(場所)を採取して頂く」という形で、皆様にプロジェクトのスタートダッシュを後押しして頂きました。
地域によってはプロジェクトに賛同する方を組織し、地区をメッシュで割り振って活動してくれたグループもありました。
一見合理的に見えるこの方法も、メッシュの中で適地がなかなかみつからない困難があったり、車で入れる道がそもそもないような場所であったり、標高の高い場所で登山スタイルでなければいけないような場所に道具を持って分け入ってくださった方もあり、見えないご苦労が無数にありました。
一定数の採取が実現してからは、人口×面積×空間線量を掛け合わせたデータサイト独自のアルゴリズムに基づいて「地区ごとに空白域の残り採取数を決めて、採取して頂く」方式に変更して行きました。

あらためて、ご協力を頂きました採取者の皆様に感謝申し上げます。

*行政で行っているのは、ほとんどが空間線量(単位:シーベルト)の測定にとどまっており、このように広範囲・大規模なベクレル測定を行った例は国内にありません。

 

目的

 

~ 「現状」 を今一度よく確かめるために 〜

3.11による原発事故以降、東日本の各地では放射性セシウムが土壌から普通に検出されています。
空間線量測定だけではわかり得ない、具体的な汚染状況を把握するためには土壌測定が必要です。
子どもたちが安全に遊べる場所はどこかという不安、汚染の実情を知りたいという思い、本来なら国が測定すべきではないかという疑問、そういった声を受けて、私たちは「土壌測定プロジェクト」にチャレンジしようと決意しました。
セシウム137の半減期は30年であり、土壌汚染はこの先長く続きます。その一方で、半減期が2年と短いセシウム134は、
測定できなくなってしまうという時間的制約があるため、今が取り組み始めるべき大事なタイミングと判断しました。
事故後5年が経過し、何事もなかったかのようになりつつある中で、土壌汚染の現実をできるだけ正確に広範囲に捉えていきたいと思います。
測定データが社会のあり方を考えるみなさまの指標の一つとなり、被曝低減の助けとなるよう努め、
同時に、全国の測定室の利用と支援が広まればと考えております。

 

〜 「未来」 に遺す貴重な記録として 〜

このデータはまた、不幸な事故に遭遇した私たちが未来に遺す貴重な記録でもあります。未来を託す子どもたちのために、
きちんと記録を遺していきたい。それが、大きな事故が引き起こされてしまった時代に生きる、私たち大人に課された
責任ではないでしょうか。

 

~ 「みんなのデータサイト」は誰もが簡単に使えるようにつくられた 測定データ検索サイト です 〜

「みんなのデータサイト」は、全国の市民放射能測定室でこれまで積み上げてきたデータを、一元管理することで、
誰にでもわかりやすく、インターネット上で手軽に検索ができるように作成・公開されたデータベースです。

 

3つの方針:「市民の力で」 「正確なデータの蓄積」 「わかりやすい情報提供」

 

目標

市民の力で、東日本の放射能による土壌汚染をベクレル測定して、広範囲に明らかにし、記録する。

 

期間

期間(第1期):2014年10月〜2015年9月
期間(第2期):2015年10月〜2016年9月
期間(第3期):2016年10月〜2017年9月

 

対象エリア

東日本・17都県
青森、岩手*、秋田、宮城、山形、福島、茨城、栃木、
群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡、新潟
*岩手は先行して2012年〜2013年に、300ヶ所の採取測定を行なうプロジェクトが「土壌プロジェクトいわて」により実施されました。

■測定結果を「みんなのデータサイト」にアップしてMap公開中
■多くの地点の結果が集まった時点で、紙のマップを製作。
■面積当たりの放射能存在量の試算(Bq/kg→Bq/平方メートル)を行なう。(公開している平米換算のマップはこちら

 


 

このようにプロジェクトを進めました

 

進め方の体制について

このプロジェクトは、「採取にご協力頂ける方」、採取された土壌を「測定する測定室」、
「資金でサポートしてくださる方」の3者で支え合い、全体の運営を「みんなのデータサイト」事務局がバックアップし、
データ公開していくという形で、進めていきました。

 

採取について

第一期には手を挙げて頂いた地区から、プロジェクト化して活動を広げていきました。
おかげ様で無事、目標数の採取が完了した地区が出てきたため、その後はまだ採取の進まない「空白域」に
焦点を絞って採取をお願いしていきました。

最終的に、目標に達しない地域については事務局が「採取キャラバン」の段取りを組み、極力目標地域の地点数を網羅できるよう努力しました(2017年10月以降も続行中)。

 

皆様へのフィードバック

測定にご協力いただいた方には、測定箇所の測定結果報告書(スペクトル付き)をお送りいたしました。
また、データサイトに測定した結果をマップ・データとして掲載し、閲覧できるようにもなっています。

 

 

参考:土壌採取の方法

 

2014年10月〜2017年1月末まで一般の方にも協力を求め、下記のような方法で統一して採取を進めました。
当時の資料を掲載します。

 

採取前日までに準備しておくこと

 

  1. 採取に必要な道具を揃える。
  2. 採取の道具及び採取方法マニュアルに目を通して、確認。(<採取の道具及び方法詳細マニュアルPDF>
  3. 野帳伝票を必要な枚数印刷する。野帳の書き方に目を通す。▶ 野帳・伝票書き方ページへ
  4. 位置情報(緯度経度)の取り方について確認。
  5. 天気予報の確認。

 

 

採取当日のマニュアル

 

1)採取場所と条件の確認

○できるだけ晴れが続いた後に採取を行います。土が乾いていれば雨の後でも大丈夫です。
○空間線量計を用いて、付近の大まかな線量を把握します。極端に線量が高いホットスポット(特異点)、たとえば雨樋の下や
側溝に溜まった土や苔などの特殊な地点ではないところを採取ポイントに定めます。

 

2)野帳(記録用紙)と伝票を準備

  • 野帳(やちょう・フィールドノート)は、なるべく詳しく記入をお願いします。
  • 野帳には、実際に公開をする項目と、記入はするが非公開の項目があります。公開・非公開の別は野帳の欄をご確認ください。
  • また、地形や地質、周囲の環境(木が多いか、水の近くか、傾斜地かなど)を詳しく記録していただくと、 測定した数値がなぜそうなのか、後から推察することもできます。
  • また現場の大まかな地図と写真(郵送またはメール添付)を添えてください。
  • その場にもう一度訪ねることが難しい測定室の人間や解析する人にとって、
    また、のちのち他の周囲の数値と比較して大きな違いが出ていることが分かった時などに、
    検証するための唯一の手がかりになるのが野帳の記録ですので、
    丁寧に記録をお願いします。
  • 伝票もプリントアウトし、採取日や地点名を書き込み、土壌検体を入れた二重のビニール袋の間に入れてください。

 

3)空間線量の測定(必須ではありません)

採取ポイントの空間線量を、地上5センチ、地上1メートルの2点で測定し、お使いの空間線量計の種類と共に、野帳に記録します。

  • 地上5cm,1mの両方を3回ずつ測って、その平均値を記載していただくのがベストです。
  • 地上5cm,1mの両方を1回ずつ測って、その値を記載していただいても構いません。
  • 時間がない場合などは、地上5cmの値を一回だけ測って記載してください。
  • 空間線量測定ができない場合は、空欄でも大丈夫です。

 

4)緯度・経度情報の確認と記載(GPS)

当プロジェクトでは、多くの地点の測定数値を地図化することを目標のひとつにしています。
そのため野帳に、緯度・経度情報の記載をお願いしています。

緯度・経度には、10進法と60進法(度数)の二種類の表記法がありますが、
当プロジェクトでは10進法を採用します(例N35.303485 E139.932404など)。

A)その場で緯度経度を記録したい場合 => スマートフォンで調べられます。

一般的には60進法表記のアプリが多数を占めているため、10進法の緯度経度と住所を取得できるwebページを開発いたしました。ぜひご活用ください。
https://kodomira.sakura.ne.jp/map/digital_yacho/

(野帳のQRコードから、緯度経度確認ページへ飛べますのでご活用ください。)

利用上のポイントは
1、最初に、「GPS情報を送出して良いか」といった許可を求められるので「許可(はい)」を選択してください。
2、建物の中やビルの近くでは、電波を拾えず、全然別の場所を示すことがあります。一度、純正のgoogle mapアプリを立ち上げてから、再度同じページをロードすると、うまく表示されることがあります。
また、ダウンロードして使える、10進法表記のiPhone・Androidアプリ例をご紹介します。

iPhoneの場合(アプリの一例:「MapMemo」)
Androidの場合(アプリの一例:「GPS simple(GPS Status)」)

B)住所がわかる場合 => パソコンのグーグルマップで検索して、URLをチェック。

インターネットで、googleマップを開き、目的地(住所等)を検索します。
すると、URLのところに、図に示されたように、緯度と経度が表示されていますので、その数値を野帳にお書き込みください。
ちなみに30~40度代の数字が北緯(N)、130~140度代の数字が東経(E)です。
データサイト上で地図として公開する際には、小数点3位までしか公開しないため、小数点3位までの記載をお願いします。

GPScheck

 

5)掘り方を確認して採取

  1. 線量の高い場所では、ゴム手袋・マスク・ゴーグル等で作業中の吸引や付着を防ぎましょう
  2. 表面に砂などがある場合(グラウンド等)は避けます。
  3. 地表からきっちり深さ5センチメートルで、1リットル強の容量を採取します。
    (例:縦10センチメートル、横20センチメートルの直方体で約1リットルになります)
  4. 大きな枝、葉、石、根などは取り除きます。石の多い場所はフルイにかけます。
  5. 二重にしたビニール袋に土を入れて、よく撹拌します(放射性物質の濃度を均一化するためにとても重要です)。
  6. 空気を抜き、袋の口をしっかり止め、ファスナー付きビニール袋に入れ、間に記入済みの伝票を忘れずに見えるように入れて、厳重に口を閉じます。
  7. 採取後の穴は、周辺の土で埋め戻し、平らにします。(採取土壌は、測定後、採取してくださった方に返却いたしますので、元あった場所にお戻しください。)
  8. 使用した用具はその都度洗い(またはウェットタオル等で汚れを落とす)、次のポイントに土が持ち込まれないようにします。

 

6)採取土壌の送付

  1. 採取した土壌は、必ず記入済み伝票を同封していることを確認する。
  2. 段ボールなどに土壌と野帳を入れ、梱包し、指定された測定室宛に送る。

 

FAQ

 

Q:雨の日や濡れた土はどうしたらいい?
A:もし、採取を予定していた日に雨が降ってしまったら、出来れば日を改めることをお勧めします。
どうしてもその日しか取れない場合は、採取した土を新聞紙に広げて水分を取り除くなどもできますが、乾燥中に舞い上がったり、一度乾いて固まってしまった土を再度砕いて袋に詰めるときに、土ぼこりが舞うなどして、吸い込んでしまう心配もありますのでお勧めしません。
水分量は、概ね10%未満が望ましいですが、ベタベタの土でなければほぼ大丈夫です。

 

参考資料(プロジェクト実施当時の資料)

 

チラシデータ(2017年春版)

 

土壌採取「虎の巻」(コミック版採取マニュアル)について

 

野帳・伝票について

 

土壌データの正確性の確保について

 

空白域について(無料測定期間は終了しました)

 

 土壌プロジェクトのデータ公開について