放射性物質の減衰、崩壊について
放射性物質には「半減期」があり、放射性核種ごとに半減期の長さは決まっています。
放射性物質は、専門的には「放射性同位体」と呼ばれ、不安定性を持ち、安定状態に至るまで放射線を出しながら別の放射性同位体に壊変していきます。
その様子を、「ウラン系列」を例に説明します。
以下の図を見ていただくと、「238ウラン」という円に始まり、「234トリウム」「234ウラン」といった別の放射性同位体に変遷していく様子が描かれています。
「238ウラン」の下に「44.7億年」と書かれているのが「半減期」です。その放射性同位体の原子数が半分になるのにかかる時間のことです。
ウラン238の場合、44.7億年もかけてやっと半分になる、ということがわかります
(ちなみに、このウラン238というのは天然に存在するものです。この量が多い土地が、ウラン採掘場とされることがあります)。
その次のトリウム234の場合は、半減期が24.1日と書いてあります。ウラン238に比べてずいぶん短いことがわかります。約24日で、半分の量になっていきます。
その次は少し飛ばして、次のウラン234は24.6万年かかって半分になると書かれています。
同じ元素であり、違う同位体であるウラン238と比べると、ずいぶん短いですが、私たち人間の感覚から言うと、とても長い時間と感じます。
このように、各元素の各同位体(「234」や「238」などの同位体番号で区別されます)ごとに、半減期の長さは決まっています。
ウラン238は、最終的に、鉛206(右下)になって安定を迎えます。とうとう放射線を出さない安定状態となり、そこで「ウラン系列」の長い放射性崩壊の旅は終わります。
私たちの日常で親近感があるウラン系列の中の放射性物質(同位体)には、「ラジウム226」や「ラドン222」があります。
これらは「ラジウム温泉」「ラドン温泉」などで有名ですが、元々はウラン238から崩壊して行った先で出来る放射性核種であり、そのような後から生み出された核種は「娘核種」と呼ばれます。
ちなみに、セシウム137の半減期は約30年、セシウム134は約2年で、別の元素(バリウム)の同位体に変化します。
不安定な状態の放射性核種が、安定状態を求めて放射線を出しながら、次々に別の元素の同位体に壊変していく、というのが、放射線の放出の基本的メカニズムです。
そのことが、このウラン系列の図表からも具体的に読み取れますので、ぜひよくご覧ください。
(イラスト制作協力:こどもみらい測定所・ボランティアKさん)