食品データの解析

食品中の放射性セシウムの多い・少ないには傾向あり

原発事故後、様々な食品が放射能に汚染されました。

多くの市民測定室でたくさんの測定や検証をして行った結果、食品の種類によって比較的放射性セシウムの検出が少ない種類と、数値が高い種類とがあるのがわかってきました。 ここでは、放射性セシウムが検出されやすい理由を、以下のような2つの前提と13の原因に大まかに分類しました。

実際は、以下に例として挙げられている種類のものでも、時期や地域、その他の諸条件で検出されないケースも多く、一概には言えませんが、1つの目安としてご覧ください。 特に、事故直後と数年経ってからでは値や状況も異なりますので、ご注意ください。 実際の具体的な数値は、下記食品検索ページにてご確認ください。
食品検索ページ

今後長きに渡って気をつけたほうが良い食べ物

原発事故が起きた2011年の直接被ばくの頃と比べると、現在では食品の汚染はある特定のものを除いて、かなり落ち着いてきています。 しかし、特に今後も長期にわたり気をつけた方が良い食材もいくつかあります。

主に野生のキノコ、山菜、イノシシや熊、シカなどのジビエなどです。これらは事故から数年を経た今も東北〜関東地方を含む広い範囲で、時には数十ベクレル〜数百ベクレル/kgという高い汚染が見られることがあるため、引き続き、厳重な注意や継続的な測定が必要です。 また、川や湖沼の魚(淡水魚)、沼で育つレンコン、タケノコなどは、数ベクレル〜数十ベクレル程度の汚染がみられる場合がありますので、産地の汚染状況や生育状況にあわせて注意してください。
(原文:石丸偉丈 こどもみらい測定所代表) ※2017年、みんなのデータサイト事務局が一部改訂。

食品における放射性セシウムが含まれる傾向について

前提A. 土壌のセシウムの濃淡により、作物への移行は一定程度は比例する

ただし、土壌の性質・施肥状況その他諸条件の違いにより作物への移行係数にはバラつきが出る。

前提B. 土壌における濃縮による食品の高濃度汚染

栽培中の土壌に高濃度の濃縮(肥料や水による汚染など)があれば、作物も高濃度になることがある。

セシウムが検出されやすい13の条件・特長

1. 直接被ばく(特に2011年3月の葉面吸収等)     例:柑橘類。茶葉。H23年産小麦
2. 多年生植物(特に常緑樹)の種実類・葉等     例:梅、柑橘類、茶葉、栗、キウィなど
3. カリウムが多い食品(カリウム表との相関)    例:タケノコ、茶葉、米糠、大豆、明日葉など
4. 非粘土質に育つもの(砂質、黒ぼく土等。原木菌床に生えるキノコ類等) 例:キノコ、ソバ
5. 酸性土壌に育つもの               例:ソバ、ピートモスに育つブルーベリー
6. アンモニウムイオンとセシウムイオンの交換(豆類の根粒菌、アンモニア肥料) 例:大豆
7. 土の中で育つ作物(思いの外、不検出・低汚染も多い) 例:サツマイモなど
8. 水・泥の中で育つ作物(0.1Bq/lの水でも、お米に移行した例。山からの水) 例:お米、レンコン
9. 根が浅い植物(セシウムは表層が濃度が高い)   例:各種山菜、野草、ハーブなど
10. 野生植物と、それを食べる動物          例:各種山菜、野草、キノコ苔、猪・鹿
11. 未熟な有機物腐植層での生育           例:タケノコなど
12. 魚介類(水生生物)で、沿岸底生、汚染地域の回遊、食物連鎖上位 例:マダラなど
13. 淡水魚(ミネラルを保持する関係でセシウムを保持しやすい) 例:各種淡水魚など。特に沼。