市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.1 空間線量を測る目的

第1章 空間線量を測る

空間線量を測る目的

 福島原発事故が発生した時、政府は「原発から○○km圏内の方は直ちに避難してください」と言う一方で、「直ちに健康に影響を与えるレベルではありません」とも言っていました。避難している状況を目の当たりすると自分が住んでいる場所は安全なのか不安になりました。また、放射線量の情報は、災害直後は代表的な地点のみで非常に少ないです。また、地震や津波等の複合災害時は停電や通信不通も発生し情報を受け取るのも容易ではありませんでした。福島第一原発事故の時は10㎞避難指示前には20%以下の住民しか原発事故が起こったことを知らなかったそうです。 避難指示が出ても伝わらない場合もあります、避難指示を受け取っても、正常性バイアスがかかり避難しない住民や、集団同調性バイアスによって周りの人たちに合わせて動く人も多くなると思います。

 避難指示が遅れた事例もあります。福島第一原発事故では、30~45km離れた飯館村が事故から1ヶ月以上経った4月22日に計画的避難区域に指定されました。また、原発事故から3ヶ月以上経った6月30日に特定避難勧奨地点に設定された住居もありました。

 また、初めて見聞きする単位で毎時20マイクロシーベルトなどといわれても、マイクロシーベルトって何?大丈夫なの?という感じで安全なのか危険なのか判断が出来ませんでした。自分で判断できるように、放射線の測定を経験しておき、万が一の時に放射線量の測定値の意味を自分で判断できるようになってほしいと思います。

参考:原子力規制委員会:放射線モニタリング情報共有・公表システム

正常性バイアス(Normalcy Bias)とは、災害、事故、犯罪などの異常事態に直面した際、脳がストレスを避けるために「これは正常の範囲内だ」「自分は大丈夫」と過小評価し、正常な日常生活の延長として捉えてしまう心理的メカニズムです。この心理機能は心の平穏を保つために必要ですが、非常時には危険を認識できず、逃げ遅れや対応の遅れを招く主な要因となります。

集団同調性バイアス(同調性バイアス)とは、「みんなと同じなら安心」という心理が働き、多数派の意見や周囲の行動に合わせてしまう無意識の思い込みのことです。災害時に周囲が避難しないため自分も逃げない、会議で反対意見があるのに流されるなど、リスク見逃しや判断遅延の原因となります。別名「多数派同調バイアス」とも呼ばれます。

参考:総務省消防庁の資料


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