【オンライン講座】原発事故と小児甲状腺がん 参加者募集!


8月19日(水)19時からの月例オンライン講座のゲストは、ジャーナリストの白石草(しらいしはじめ)さんをゲストにお迎えします!

白石さんはOurPlanetTVの代表理事として、東日本大震災後は被災地の状況はもとより、東京電力を追う報道、小児甲状腺がんの発症状況の調査や裁判についてなど、独自の取材・調査報道により私たちに大手メディアが伝えない真実を伝え続けてくださっています。

この夏には新たなドキュメンタリー映画「波打ち際に足跡を残す」を制作。

中学時代に実際に甲状腺がんの手術を受けた、こはくさんが出演する映画です。
この映画に取り組む経緯や、どのような想いでおつくりになったのか、エピソードなども伺いたいと思っています。

また、これまでの白石さんの活動についてや 小児甲状腺がん裁判のこと、
15年後のいま、明らかになりつつある原発事故後の最新情報など、白石さんの取材の最先端をたっぷり伺います。

たくさんの方のお申し込みをお待ちしております! 

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市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.8 まえがき(たたき台)

『市民測定室のつくりかた』をなぜ書くのか?

いま私たちが準備している『市民測定室のつくりかた』とは市民放射能測定室を始めたいと思った人が、できるだけ短期間に測定室を立ち上げ、測定活動を開始できるようにするための本です。開室してからも、日常的な測定を正確に行うには何に注意したらよいか、また、できるだけ長く測定活動を続けていくにはどうしたらよいかも分かる本です。ところでそもそも市民放射能測定室とはなんでしょうか。その言葉すら聞いたことがない人もいるかもしれません。そこで、時計の針を15年前に戻して説明したいと思います。

2011年3月11日午後2時46分、宮城県沖を震源とするマグニチュード9の巨大な地震が発生しました。それにより大きな津波が三陸を中心に東日本の沿岸を襲い、多数の被害者が出ました。この千年に一度とされる東日本大震災は、原子力発電所の過酷事故も引き起こしました。東京電力福島第一原子力発電所事故です。この原発事故により東日本は大量の放射性物質に汚染されました。放射性物質は農作物や水産物からも検出されました。最初期は水道水からも検出されました。行政は様々な食品の放射能濃度を測定して基準値を超えるものには出荷規制をかけるようになりましたが、その基準値はとても高いものでした(2011年3月~2012年3月までは500 Bq/kg。2012年4月からは100 Bq/kg)。

2011年10月からは、順次各地の自治体で住民が持ち込んだ食品の放射能測定が始まりましたが、概して測定時間が短く、例えば10~20 Bq/kgを下回る汚染は検出されないようにしていました。また、多くの自治体では地元で採れた自家消費の農作物ではない市販の商品は対象外でした。さらに、土壌やハウスダストなど、食品以外に市民が測ってみたいものはいろいろあっても自由に測れるわけではありませんでした。そこで、自分たちが口にするものが放射性物質で汚染されていないか、たとえ行政の測定では不検出になるようなレベルの汚染でも明らかにしたいと考える人々は、自前の測定器を持って自主的な放射能測定を目指しました。自前の放射能測定器であれば、家庭菜園の野菜や地域の農産物、土壌やハウスダストやカーエアコンのフィルター等、なんでも自由に放射能汚染を調べることができます。

正確に書くと、自治体による放射能測定の開始よりずっと早く、原発事故の直後から市民放射能測定室を作ろうと動き始めた人たちはいました。その中には、1986年4月のチェルノブイリ原発事故のあと、ヨーロッパや日本にできた市民放射能測定室の事例を知っている人もいました。市民による市民のための自主的な放射能測定室である市民放射能測定室は、大震災から数か月後には福島を中心にできはじめ、数年内には東日本から西日本にも広がり、一時は北は北海道から南は沖縄まで全国に100ヵ所以上できたと考えられています。東日本の汚染地から避難した人たちが参加した測定室もあります。

1986年4月のチェルノブイリ原発事故のあと日本にいくつかできた市民測定室の多くは2011年3月の時点で活動を終えていたものの、続いていたところが少なくとも二か所ありました。この先行例が、3.11後の日本にたくさんできた市民測定室のひとつのモデルとなったのは間違いありません。またチェルノブイリ原発事故で日本よりもはるかに深刻な汚染を受けたヨーロッパには、専従のスタッフが何人もいるNGOとして活動してきた団体もあります。そのようなフランスの二つの団体は、3.11後、日本の市民に測定室を作るための支援を惜しみなく提供してくれました。このことも、事故発生から短期間で市民測定室が立ち上がっていった要因のひとつです。

短期間で、とはいいますが、みたこともない測定器を百数十万から数百万円出して購入し、100キログラム近くあるその装置をどこに置くのか? どうやって測定するのが正しいのか? 経験のある人もほとんどいない中で、それでも子どもたちの安全のために、また身の回りの汚染状況を知りたいと、必死になって大人たちが試行錯誤しながら測定室を立ち上げていきました。

そして、なんとか市民測定室を立ち上げさえすれば話は終わりではありません。必要な専門用語が多すぎたり、結果をどのように伝えたらよいかわからないなど、様々な苦労や困難がありました。同時に、各地の市民測定室の中には、情報を交換し知識を共有することで、測定技術を向上させるところもありました。2013年にはみんなのデータサイトもでき、市民放射能測定室の測定技術を向上させる努力がさらに進められることになりました。

この間、日本各地にあった市民測定室の数は減り続けています。野生のキノコや山菜など一部の食品を除けば多くの食品から放射性物質が検出されることはほぼなくなり、当初あった大きな不安がなくなり、測定の依頼が減ったことは大きな理由ですが、それだけではありません。10年以上活動を続けてきたところには、メンバーが高齢化し後継者もいないため止む無く閉鎖されたところも少なくありません。このことは『市民測定室のつくり方』を書こうと思ったきっかけの一つです。日常的に正確な放射能測定を行う技術だけでなく、市民測定室を地域の仲間と立ち上げ、長期間運営を続けるという市民測定室の活動全般のノウハウが日本各地で蓄積されてきたにもかかわらず、このままではその多くが失われていってしまうという危機感です。

市民測定室の活動で蓄積されたノウハウをまとめても、市民測定室の必要がなければ意味がないと思われるかもしれません。しかし私たちは市民測定室の必要性は全くなくなったとは考えていません。

第一に、今も野生の山菜やきのこなど高いレベルの汚染が検出されるものはあります。商品として市場に出たあと、市民測定室の測定によって基準値を超える汚染が発覚することは少なくありません。また、土壌の汚染は事故直後と比べれば低減したとはいえ、もともと高かったところでは注意が必要です。事故直後には帰還困難区域とされていたエリアが、近年、急激に解除され、帰還・移住政策が進められてもいます。それらの地域においては今でも驚くほどのホットスポットが散見されます。また人が入れるようになった山野で育つ野生のキノコや山菜等が持ち出されたり、食されたりする恐れもあります。このような現在も残る放射性物質汚染の実態を知るために必要です。

第二には、残念なことですが、世界にはたくさんの原子力発電所や核施設があり、いつまたどこで大きな原子力災害が起こるかわからないという現実があります。2024年1月1日に能登半島地震が起こったとき、志賀原発の事故を心配した人は少なくありませんでした。あるいは、震源近くに作られる可能性があった珠洲原発がもし住民の反対にも関わらず作られていたらと想像してゾッとした人も少なくありません。最近でも、毎日のように日本中で大きな地震が多発しています。本来必要がない方がよい市民放射能測定室ですが、今と将来のためにできるだけ維持してゆくこと、そしていざとなったら新たに立ち上げられるようにしておくことが重要なのです。

「市民測定室のつくりかた」は、これから放射能測定室を立ち上げようというひとだけの本ではありません。長く活動してきた測定室の皆さんにとっても、専門機関に負けない技術で正確に測定し、信頼性も精度も高いデータを得るにはどうしたらよいかが学べる、十分に役に立つものにしたいと考えています。

以下は、予定されている各章の内容の簡単な紹介です。

「第1章 放射線を測る」では、放射線とは何か、その放射線を測るにはどうすればよいかを分かりやすく説明します。放射能とは放射線を出す性質(能力)のことですから、放射能測定の基本です。

「第2章 測定室を立ち上げる」では、放射能測定室を立ち上げるにはどうすればよいかを説明します。放射能測定室を立ち上げるには、測定器はもちろん、それを置く場所、測定する人が必要です。この三本の柱をどう立てればよいのか――しかもできるだけお金をかけずに――を実例を紹介しながら説明します。

「第3章 放射能を正しく測る」では、測定器の性能を十分に活かし、できるだけ正確なデータを得るためのノウハウを紹介します。

「第4章 汚染の実態を解明する」では、市民測定室の測定データによって明らかになった放射能汚染の実態について説明します。

「第5章 データを共有する・活かす」では、市民測定室が得たデータをどのように市民の間で広く共有すればよいのか、また、除染、避難、給食などに関わる政策を変えたいときに、測定データをどうすれば活かせるかについて説明します。

最終章の「第6章 市民測定室と民主主義」では、市民が自ら放射能を測る市民測定室の活動は、民主主義にとってどのような意味を持つか考えてみたいと思います。

(藤田)


【オンライン講座】「生活の実践」刊行記念! 測定=アート に至る道とこれから 参加者募集!


7月15日(水)19時からの月例「みんなのデータサイト オンライン講座」。

今回のゲストは、当団体の顧問で、アーティストとしても幅広く活躍されている、平井有太さんです。

もともとアートやDJカルチャーの世界にいた平井さんですが、東日本大震災を機に福島での取材を開始。

2012年に現地へ移住し、約3年間にわたり福島市で活動されました。

その間、多くの人々の声を記録して2冊の書籍『福島』『ビオクラシー』(共に、SEEDS出版)を上梓したほか、農の復興を目指して市内の全農地を調査する「土壌スクリーニングプロジェクト」の事務局として参画、さらには福島市議選への立候補も経験されています。

現在は東京を拠点に、みんな電力と並走しながらの再エネ活動、放射能測定のプロジェクトにも深く関わりながら、私たちの活動を顧問として支えてくださっています。 アーティストとしては、福島の言葉や測定データをアートに昇華させる独自の活動を展開。東京やミラノでの展覧会も成功させ、今年5月には新刊『生活の実践』も出版。

「放射能測定はアートだ」と語る平井さん。

一見意外なこの組み合わせにどんな思いが込められているのか、これまでの歩みや作品を交えて楽しく伺います。

今の社会のこと、これからの世界のこと、皆さんと一緒にリラックスして考える時間にできればと思います。


どなたでも大歓迎ですので、ぜひお気軽にご参加ください!

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市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.7 放射線測定と放射能測定の違い

放射線測定 vs 放射能測定


「放射線測定」はその場の放射線の強さ(空間線量率μSv/h)・汚染の有無(計数率cpm)・個人の被ばく量(μSv)をリアルタイムで把握することが目的の測定で、測定対象・目的により用いられる機器が異なります。
空間線量率測定の目的は、細かい数字の正確さではなく大体の汚染の傾向を素早く知ることです。
0.08 μSv/h、0.25 μSv/hのように、現場での相対的な違いや線量率の把握が重視されることがあります。
もちろん線量計にも校正は重要ですが、現場測定では「すぐ結果が出る」「傾向を見る」「異常を見つける」という役割が大きいのです。

一方、「放射能測定」は食品や土壌、飲料水等の物質の中に含まれる放射性物質の量を、放射能濃度(Bq/kg、Bq/l)として定量的に求める測定で、核種分析が可能なゲルマニウム半導体検出器やNaI(Tl)ベクレルモニターで実施されます。
食品1 kgあたり何Bqか、食品基準値と比べてどうか、不検出といえる下限値はいくらか、Cs-134とCs-137を分けて見ているかが問われ、数値の由来がより厳しく問われるのです。

食品中の放射能測定では、同じ食品を測ったとき、測定者や測定器が変わっても、統計的に矛盾しない範囲で同じ放射能濃度が得られることが求められます。
そのためには、標準線源に基づく効率校正、試料調製の統一、バックグラウンド管理、検出下限の明示、不確かさの評価、γ線スペクトルを含めた測定記録の保存が必要です。
食品測定は「測定器が数値を出すこと」ではなく、「誰が測っても比較できるBq/kgを出すこと」が求められる測定です。

報告例① Cs-137,Cs-134共に不検出
Cs-137:不検出、検出下限値 3.2 Bq/kg
Cs-134:不検出、検出下限値 3.0 Bq/kg
or
Cs-137:<3.2 Bq/kg
Cs-134:<3.0 Bq/kg

報告例② Cs-137のみ検出
Cs-137:12.4 ± 2.1 (3.2)  Bq/kg
Cs-134:不検出 <3.0


参考:市民測定室で稼働しているベクレルモニター装置構成例

2章では放射能測定において測定精度に影響を与える数々の要因とその対策法について記載します。
上記の中で出てくる用語等についても、第2章の本文の中でそれぞれ解説していきます。


内容;
1.測定目的と対象範囲の明確化
2. 測定環境の整備とバックグラウンド管理
3. 測定器の校正
4. 試料調製の標準化
5. 測定時間と検出下限の設計
6. スペクトル確認能力の訓練
7. 品質管理用試料による日常点検
8. 交差測定・相互比較の実施
9. 汚染防止と試料管理
10. 記録様式と報告書の標準化
11. 測定者教育と役割分担
12. 依頼者への説明訓練
13. 測定室の経営・運営 について


市民測定所を開設する際、測定精度を保持するために最も重要なのは、次の5点です。
第一に、測定条件を標準化すること。
   容器、重量、充填、測定時間、解析条件を毎回そろえる。

第二に、バックグラウンドを管理すること。
   一度測るだけでなく、日常的な変動を確認する。

第三に、校正と管理試料で測定器の状態を確認すること。
   ピーク位置、効率、計数率の変化を記録する。

第四に、スペクトルを読む訓練をすること。
   自動判定の数値だけに頼らず、異常に気づけるようにする。

第五に、測定結果の説明方法を統一すること。
   不検出、検出下限、不確かさ、参考値の意味を正しく伝える。



(村上)


市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.6 自ら空間線量から避難の判断をする

自ら空間線量から避難の判断をする

 原発事故が起こり原子炉が冷却不能となり炉内の圧力が高まると、内部圧力を炉外に放出するベント作業が行われます。
ベント作業が行われる前には、原発から半径5kmは避難指示が出ると思います。空間線量の上昇が確認されれば、原発から半径30kmも避難指示が出ると思います。

 福島原発事故の経験から、年間20mSvを超えると推定されると避難指示が出ると思いますが、30km圏外では避難指示に時間が掛かると思います。30~45km離れた飯館村が事故から1ヶ月以上経った4月22日に計画的避難区域に指定されました(2012年7月17日以降は飯舘村の一部は帰還困難区域と避難指示解除準備区域、残りは居住制限区域)。55km離れた伊達市内では、住居ごとに年間20mSvを超えると推定されると避難を勧奨されました。1mの高さにおける庭先、玄関先の空間線量が3.8μSv/hを超えると特定避難勧奨地点に設定されました。

 避難の判断として年間20mSv(放射線の影響が大きい乳幼児等は5mSv)を超えるかどうかで判断したらいいと考えます。1時間あたりにすると、2.28μSv/h(乳幼児等は0.57μSv/h)になります。放射性物質は風に流されて飛散してきますので、風上の空間線量が上昇している場合も避難してください。また、避難先も風下を避けてください。福島原発事故では200km離れた関東でも検出されました。
 原発事故で放出される放射性物質には、半減期が短いものが多いです。特にヨウ素131は半減期8日間なので、80日で1/1,000に減衰するので短期避難も有効です。

「半減期」とは、放射性物質が崩壊して、放射線を出す能力(放射能)が半分になるまでの時間です。放射性物質ごとに固有の期間が決まっています。