【スイス・ローザンヌ IOC本部前での要請と、IOCとの面談報告】

みんなのデータサイト参加測定室(名古屋 C-ラボ)であり、原子力市民委員会のメンバーでもある大沼淳一さんが、この2月フランスの市民団体に招かれ、マップ集英語版ダイジェストを携えて、オリンピック開催の要請行動とスイス・フランス3ヶ所での講演会を行いました。そのうち、IOC本部前での演説、IOC担当者3人との会議室での要請アピールについてのレポートです。



■IOC本部前の要請行動とIOCとの面談

ローザンヌはIOCの城下町で、多額の資金が町に入っています。
ですから、よそ者が来て抗議行動などを行なっても、町の人たちはなかなか集まらないとのことでした。
しかしヨーロッパの各地から人々が集まりました。
パリ、ドイツのIPPNWの医師たち、スイス各地からなどで、日本人も合わせて総勢60人くらいになりました。
 
さて、この抗議活動のあと、予定外のことがありました。
 
それはIOCが『どうぞ、中へ入ってください』と我々を招き入れてくれたのです。
4人まで、という人数制限はあったのですが、僕もその一人に入れてもらい、IOCの会議室で、
なんと1時間近く時間を取ってもらい、我々の要請を聞いてもらう機会に恵まれたのです。
先方は3人、広報担当官と医師と競技部門の統括のような人物でした。
僕が話したのは、今回の遠征で行なっている講演会のパワーポイントの内容を中心にしたものです。
通訳時間に15分、スイスのお医者さんが5分ほど話しました。先方から10分ほど回答を得ました。
 
深刻な放射能汚染を放っておいて、避難している人たちへの補償や移住の権利などを奪い、
帰還一辺倒の心無い政策のなかでのオリンピックはありえないだろう、という話をしました。
あいにくIOCとの面会の様子は写真や動画はありません。
今回の遠征の講演会の内容は一部動画の記録があるのでそれを紹介します。
概ねこの内容をIOCに伝えました。

*公開されている講演会の動画はこちら

 
IOCの3人は、速記のように大量のメモを取っていたのが印象的でした。
医師も何度も頷きながらメモを取っていました。

3人のうちの一人はフランス語が苦手ということで、急きょ英語で通訳をしてもらいましたが、
おそらくこういった話は、日本のIOCからも政府筋からも聞いたことはなかったことだろうと思います。
 
先方からの最初の一言は、「オリンピックのキャンセルはありえない」ということでしたが、
それでも「上にきちんと伝えます」というコメントをもらいました。
詳しい返事の内容は、同席した通訳の人からまたメモを送ってもらおうと思いますが、
日本でこうした抗議活動の後、実際に中に招き入れられること、
ましてやこんなに丁寧に話を聞いてくれることなど皆無なので、大変驚いた出来事でした。


IOC前の要請行動



なお、ジュネーブでは、国連難民高等弁護団事務所の職員だった方の家にホームステイさせていただきました。

緒方貞子さんの下で、日本で3年間勤務経験のある方で、この方は、WHO(世界保健機関)がIAEA(国際原子力機関)に屈服したこと
(1959年 Agreement WHA 12-40)に抗議し、10年間毎日WHO前でスタンディングをしていた
Independent WHOという市民団体のメンバーです。
WHOがIAEAに屈服した、という意味については、こちらのIndependent WHOのウェブサイトにその詳しい解説がありますが、
要はIAEAが進める原子力の平和的利用促進の目的のためにWHOとIAEAは互いに協力・連携し合う、というようなことです。
つまり、人々の健康問題と、原子力利用促進という経済的側面とが、独立せず互いに影響し合う関係下になってしまったことを指し示しています。
 
つまりWHOは、原子力(放射能)による健康被害についてはIAEAに忖度する可能性があるということです。


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