世界核被害者フォーラム2025 参加報告


みんなのデータサイトは、広島・長崎被爆80周年「核のない未来を!世界核被害者フォーラム2025」に10月5・6日、参加してきました。

世界11ヵ国から36人が参加しました。
環境・健康・人権・植民地支配・コミュニティ崩壊など、核サイクルのどの時点で世界のどこでどのような問題が起きているか、どのような活動をしているかなどの報告がありました。どの報告者の発表もとても重く厳しいもので、1人の発表だけで1つの講演会をできるぐらいとても濃厚な二日間でした。
その模様をほんの少しですが報告します。

■世界核被害者フォーラム2025とは
このフォーラムは、広島で活動する「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)」と、ニューヨークで活動する「核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクト」という2つの団体が主催しました。呼びかけ団体は日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)、原水爆禁止日本協議会(原水協)。HANWAの代表である森滝春子さんは、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の結成に参画し、被爆者運動と原水爆禁止運動を主導した森滝市郎さん(1994年に92歳で死去)の次女で現在86歳。被爆70年の2015年に1回目のフォーラムを開催し、今回が2回目となります。

■プログラム
★セッション1 核サイクル被害現場から
1. 広島・長崎原爆被爆
2. ウラン採掘・精錬・核燃料製造
  ウラン鉱山核被害ドキュメンタリー
「コンゴよ!われわれのポケットが血で汚れている!」
上映会とシュリプラカッシュ監督トーク
3. 核実験と核植民地主義
4. 原発事故・原発労働
5. 核廃棄物の処理・劣化ウラン兵器
   特別公演 「核被害者である医科学者として」
ティルマン・ラフ
(メルボルン大学名誉主任研究員 IPPNW 前会長)
★セッション2 核被害者の権利と補償の確立、核利用の根絶に向けて ラウンドテーブル
★閉会セッション 広島宣言及び世界核被害者の権利宣言2025の採択

■原発事故・原発労働のセッションについて

みんなのデータサイトが発表したのは、2日目の4. 原発事故・原発労働のセッションでした。
コーディネーター:木原省治さん(被爆2世、原水禁常任理事など歴任)/宇野朗子さん(福島市より避難、京都在住。原発訴訟京都訴訟原告など)
スピーカー:菊池ゆかりさん(福島県石川町の小学校教諭。原発事故後、放射線や人権に関する教育実践を続けている。教職員組合)
中村奈保子(NPO法人みんなのデータサイト 事務局)
菅野哲さん(録画・元飯舘村役場職員。飯舘村原告団長)
片山夏子さん(東京新聞福島特別市局記者)
ジャンナ・フィロメンコさん(録画・ベラルーシ・ゴメリ出身でミンスクに移住。2024年悪性リンパ腫に罹患し闘病中)
降津かつみさん(臨床医として大阪在住の原爆被爆者の治療に携わる。福島原発事故被害から健康と生活を守る会アドバイザー、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西共同代表、兵庫医科大学非常勤講師)

みんなのデータサイト 発表要旨:
福島原発事故後、市民放射能測定室が全国にできたのは、国の調査が遅く信頼できなかったこと。自分たちで自分たちの知りたいものを測定して安心かどうか確かめたかったこと。
土壌プロジェクトという大掛かりな17都県の調査さえ、国がやらないから市民のべ4000人で取り組まざるを得なかったこと、調査により福島原発事故による放射能汚染の証拠を残せたことを報告しました。
また、一般人の被ばく許容量年間1ミリシーベルトが事故後20ミリシーベルトに引き上げられ避難や移住の根拠になってしまったことや、放射性廃棄物の管理基準1キログラムあたり100ベクレルであったものが8000ベクレルまでに法律を変えられて緩くなってしまったことを報告しました。また、風評被害どころか、風評加害者という言葉までが御用学者やマスコミにより作られ、それが本来の被害者に向けられることで被害の声を上げづらくなっている現在の実情を訴えました。
最後に、これ以上被ばくする人を増やさないため、みんなで力を合わせようと呼びかけました。

■広島宣言と世界核被害者の権利宣言
世界核被害者フォーラムの最終日に採択した広島宣言と世界核被害者の権利宣言につきましては、以下のページから日本語版と英語訳をダウンロードできます。
https://mp-nuclear-free.com/Nuclear/2025_WNVF_01.html


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