市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.5 線量の情報を周りの人に伝える

放射線について知っている人は少ないです。
まして具体的な数値を言われてもどう判断して良いのか分からない人がほとんどです。
身近な人に線量計の数値からどの位の危険性があるかを話せるようになりましょう。

最初に述べた通り、日本政府からは放射線被ばくについての情報がほとんど出されない中で、放射線に詳しい方が地域の中で中心的な動きに繋がっていったことが、このプロジェクトのために実施してきたアンケートやインタビューを通じて明らかになりました。

■福島県三春町の話
福島第一原子力発電所から西に約47km離れた福島県三春町では、町民の佐久間寛さんからチェルノブイリ原発事故後に購入した放射線検出器R-DANが高い測定値を示していると通報があり、町は防災行政無線で「不要の外出を避け、雨対策やマスクの着用」注意喚起しました。また、保健師や医師チームが避難所を巡回するなかで、大熊町や富岡町の職員が、希望する避難者に「安定ヨウ素剤」を配布しているのを見て、町としてヨウ素剤の情報収集を始めました。その後、大熊町と富岡町の職員からの情報や、R-DANの測定値や風向きの情報から、3月15日13時に「安定ヨウ素剤」の配布と服用の指示を町長が決めました。

■福島県浪江町津島地区の話
 浪江町津島地区には地震や津波による沿岸からの被災者が直後から1万人近く押し寄せていました。しかしその後、津島地区自体が非常に高い放射能汚染地域であることがわかり、3月15日に行政区長や消防・議員たちの話し合いにより自主的に避難指示を出しました。(それ以前に国からの避難指示の連絡はなかった)
その後も、さまざまな理由で3月28日になっても赤宇木集落の集会所にまだ10人くらいが留まっていました。その日、元放射線医学研究所の研究官・木村真三博士が放射線測定しに行ったところ、駐車場で80μSv/h、集会所内で25~30μSv/hもありました。木村真三博士はそのような高線量のところに人がいることに大変驚き、「すぐに避難してください。人が住める放射線量ではありません」と避難を促したそうです。
(清水義広)

「R-DAN」とは、チェルノブイリ原発事故を契機に1986年に発足した、住民自身の手で放射線データを監視・把握し被曝を避けるための市民運動およびネットワーク(Radioactivity-Disaster Alarm Net)の名称です。

参考:『あの日 風しもの町で起きたこと――東京電力・福島第一原子力発電所事故直後の福島県三春町での「安定ヨウ素剤」の配布』 発行者:「風しもの村 風しもの町」実行委員会 2025年3月27日 初版発行


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