市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.17 食品・井戸水などにおける天然放射性核種の影響について
食品・井戸水などにおける天然放射性核種の影響について
・天然放射性核種とは
天然放射性核種とは半減期が極めて長く、地球誕生時から存在している核種です。
親核種から連鎖的に壊変して、最終的には鉛などの安定した核種になります。
また、宇宙線により生成される天然放射性核種もあります。
ここでは、食品の放射線測定に関わりの大きい放射性核種に絞って紹介します。
1. 主要な天然放射性核種の分類と種類
① 原始放射性核種(地球誕生時から存在・半減期が極めて長い)
- カリウム-40 (K40):半減期 約12.7億年(人体や土壌に最も多い)
- トリウム-232 (Th232):半減期 約140億年(トリウム系列の親)
- ウラン-238 (U238):半減期 約45億年(ウラン系列の親)
② 放射性壊変系列(親から壊変して連鎖的に作られる娘核種)
- ウラン系列 (U238起源):Th234、Pa234,U234、Th230、ラジウム-226 (Ra226)、ラドン-222 (Rn222)、Po218、At218・Pb214、Bi214、Po214・Tl210、Pb210、Bi210-Po210・Tl206、Pb206安定
- トリウム系列 (Th232起源):ラジウム-228 (Ra228)、Ac228、Th228、Ra224、Rn220、Po216、Pb212、Bi212、Po212・Tl208、Pb208安定
③ 宇宙線起源核種(宇宙線と大気の反応で生成)
- ベリリウム-7 (Be7) →松葉、苔、籾殻などで検出される場合あり。セシウムのピークには被らないがドカンとピークが立つ。季節による。半減期は53日。
・シンチレータ式放射能測定器における天然放射性核種による誤検出について
シンチレータはチャンネル分解能が低いため、ガンマ線のエネルギーが近い核種だと、核種判定を間違えてしまう問題があります。
・誤検出の例
井戸水などの放射能測定では、ビスマス214の影響でセシウム134が誤検出される場合があります。
ビスマス214は609keV、セシウム134は605keVのガンマ線エネルギーがでます。非常に近いところでエネルギーが出るため、分離することが出来ず、核種解析ソフトではビスマス214もセシウム134が検出されたとして計算してしまいます。
ラドン222の影響、ラドンは気体です。ウラン系列の核種で土壌や岩石に含まれるウランやラジウムが崩壊して自然に発生します。コンクリートからも出てきます。気体の為、測定容器に静電気により付着することもあります。
ラドン222と、ビスマス214は、同じウラン系列です。ウラン238が壊変していくとラドン222のなり、その後、ビスマス214に壊変していきます。最終的には鉛208で安定しています。
ビスマス214やラドン222が含まる試料や周りの環境中にあると誤検出します。
(土壌については第3章で詳しく書きます)
・セシウム134誤検出の確認方法
セシウム134の誤検出の疑いの場合は、セシウム137とセシウム134に割合を算出してみます(別記事)
ビスマス214の半減期は20分です。ラドン222の半減期は3.8日です。
なので試料を8時間以上置いて再測定してみると測定値が下がっていることで判別できます。
ラドン対策
換気をよくする、測定前に測定容器をアルコールで拭きラドンをふき拭き取る。