市民測定室のつくりかた|現場ノート Vol.18 測定料金をどうするか
・測定料金はどのくらいか
測定料金は、測定器の種類、検体の種類、測定時間、検出下限値の高低などによって異なります。
今回実施したアンケート調査によると、測定室の立ち上げ当初は、目安として、NaIシンチレーション式放射能測定器の場合、食品1検体あたり2,000~4,000円程度としていた測定室が多いようです。
民間の測定会社に測定を依頼した場合、1検体数万円だったことから、市民が利用しやすい料金として数千円程度に設定した側面もあります。
一方で、無料で測定を行っている測定室もあります。無料測定の場合、ボランティアや寄付、助成金によって運営されていることが多いようです。
・会員制と会員割引
測定室を対象としたアンケートの結果では、半数以上の測定室に会員制度がありました。
その多くで会員割引が設けられており、会員は測定料金が半額になる、一定数まで無料になるなどの制度がありました。
・事故直後は多くの測定依頼に対応する
事故直後は、測定依頼が集中することが考えられます。
この時期は、低い検出下限値を目指して長時間測定するよりも、1検体あたりの測定時間を短くして、できるだけ多くの依頼に対応することが重要です。
測定時間は、1核種あたり、出荷基準値の10分の1程度まで確認できることを目安にするとよいでしょう。
例えば、出荷基準値が100 Bq/kgの場合は、検出下限値が10 Bq/kg以下になるまで測定します。
具体的な測定時間は、測定器の性能や検体の重量などによって異なりますが、20分~1時間程度が一つの目安になると思われます。
・事故から1〜2年後以降は、長時間精密測定へと移行
事故から1~2年が経過すると、測定依頼は次第に落ち着いてくると考えられます。
その後は、測定時間を延長して、より精度の高い測定を行えるようにします。
また、夜間など測定室を使用していない時間を利用して、高精度の測定を行う方法もあります。
以下の測定コストの概算からも分かるように、かかる費用の中で測定器などの初期費用が占める割合は大きくなります。
そのため、測定数を増やすことで、1検体あたりの測定料金を下げることができます。
・測定コストの概算
大まかな試算ですが、測定料金を見積もる際の、1検体あたりのコストを算出してみます。
人件費:1,000~2,000円程度
測定器などの初期費用:3,000,000円 ÷ 2,000検体 = 1,500円
家賃:30,000円/月 ÷ 200検体/月 = 150円
消耗品・電気・水道代:100円程度
以上を合計すると、1検体あたり2,750~3,750円程度かかる計算になります。
この試算では、人件費と測定器などの初期費用が大きな割合を占めています。
家賃は、借りる場所によってはさらに高くなる可能性があります。
測定室を長く継続していくためには、人件費や家賃を抑える工夫が重要になります。
ゲルマニウム半導体式検出器の場合
ゲルマニウム半導体式検出器は、初期費用が1,000万~3,000万円程度かかります。
また、冷却材として液体窒素を使用するため、月額3万~4万円程度の費用がかかります。
そのため、検体数が少ない場合には、1検体あたりのコストはNaIシンチレーション式放射能測定器に比べて高くなり、1万円~1万5,000円程度の経費がかかる計算になります。
ただし、実際のコストは、測定数、測定時間、人件費、施設費などによって変動します。