【ラジオ】アーサービナード「午後の三枚おろし」オンエア!


2019年 4/22〜 4/26(金)文化放送『斉藤一美 ニュースワイド SAKIDORI!』内(17:34 - 17:44)で
「図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集」を1週間取り上げていただきました。

事務局の中村がアーサー・ビナードさんと対談させていただきました。
以下、オンエアの簡単な内容をご紹介します。



「なぜ、本のタイトルに汚染という言葉が入っていないのか」

市民グループによって自費出版された本が話題になっていて、
4刷で1万部を超えて広まっている『図説・17都県 放射能測定マップ+読み解き集』

1日目は、「みんなのデータサイト」の成り立ちとして、
原発事故後に市民の願いで誕生した市民測定室がネットワークして、
測定結果を共有するようになったことを紹介しました。

そして、なぜ本のタイトルに「汚染」と言う言葉がはいってないのか? 
という、アーサーさんからの質問に対して、その経緯と思いを紹介しました。

タイトルに「汚染」という文字を入れるかどうかについては、
内部でもずいぶん議論しました。
「汚染があるのは事実なのだから、はっきり書いたほうがいいよ」という人もいたんです。
けれど、そのエリアに住む方々が「汚染」という文字を見たらどう思うかな?というのを考えました。 
それで本のタイトルにはやっぱりいれないで、どこからどこまでの汚染かは、
この本を読んだ人に見てもらうということにして、これは測定したものが載ってるよ
ということが伝わるタイトルにしました。

汚染という言葉で拒絶されてしまわず、まずは手に取ってもらいやすいようにと、
みんなで考えた結果です。

アーサーさんからは
やっぱり汚染って残酷な言葉だよね。相手に全部を押し付けてしまうことになるから。
ほんとうは僕らみんなこれを共有していて、みんな何らかの形で受け止めなくてはいけないし。
でも直視しないと結局なかったことにされるから、汚染で拒否反応が起きてしまったら身も蓋もないよね。

とコメントをいただきました。



「土壌プロジェクトは、一億総伊能忠敬プロジェクト!?」

政府がやろうとしない、原発事故後の広範囲にわたる、詳細な土壌汚染調査。
そのため市民が立ち上がり、17都県で土壌を深さ5cmで採取して測定する
「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」をスタート、3年間で3400ヶ所以上の土壌を採取、
測定して地図にすることができましたと紹介しました。

アーサーさんからは、

「もし、伊能忠敬が21世紀に生きていたら、彼は絶対これをやったと思う。
一億総伊能忠敬プロジェクト!」 

と言う発言が飛び出しました。

伊能忠敬は何十年もかけて一人でやったけど、こちらはセシウム134という
半減期が2年の放射性物質が消える前に、測定をしたかった。
なぜならそれが「福島原発事故由来の放射能である」という証拠だから。

ということで、何十年もかけて一人でできないので、
多くの市民に呼びかけて4,000人で頑張って3年間でなんとか終わらせました。
ということをご紹介しました。



「市民のデータは嘘をつかない」

このプロジェクトでは、測定は市民測定室がやっています。
行政の機関でもなく、ちゃんと測定できているの?という切り口でお話を進めました。

市民は愚直にデータに向き合います。当然、間違いなどもあり得るのですが、
その場合は大きく外れるので、間違いに気づきます。

また、よくわからない?と思われる測定値が出た場合には、
他の測定室にその検体を送って再測定してもらう「クロスチェック」という
助け合いの仕組みもあり、測定の正確性の担保をはかっていることを紹介しました。

これに対してアーサーさんは、
「プロは色々測る技術もわかってるし、それまでに積み上げて来たテクニックもあるから・・・
ごまかせるんだよね。」とのお言葉。

また、どの辺りの低い値まで知りたいか、
という測定の目的が行政と市民では違うということもお伝えしました。

行政は、国が定めているセシウム134とセシウム137の合算値が100Bq/kgという
基準値を超えないかどうか?を主に見ているので、
数ベクレルありやなしや?というところまでは見ていない下限値の高いデータも多いです。

一方、市民測定所で測定する場合は、5ベクレルは検出されないが、
もしかしたら3ベクレルくらいはあるかも?と 
測定中のデータを見て感じれば、測定時間を延長して、さらに低い下限値を目指して、
測定を続けて、セシウムの有無を見極めようと努力します。
このような、「しつこくデータを追求する」市民測定所の測定スタンスをご紹介しました。

また、同じ採取方法でないと数値の比較ができないことから、
深さ5cmという統一基準をつくり同じ採取方法を徹底したことなどを紹介しました。



「なぜ地図を作る必要があったか」

マップ集の地図は、空間線量を示す「シーベルト」ではなく、
実際にそこにどれだけの放射性物質があるかがわかる「ベクレル」単位の地図です。

この構想は、チェルノブイリ事故の後にロシア・ベラルーシなどの政府が作った
「アトラス」という地図帳をお手本にしています。 
各自治体を細かくベクレルとシーベルト療法で測定し、
そのベクレル値を計算することで、70年後までの放射能の存在具合を10年ごとに色で示してある地図です。

これらのデータにより、住民の立入禁止や移住・医療支援などを決定しました。
この地図帳は、いつになればその土地に帰れるのかなどが 見た人にわかりやすくなっています。

日本でも、原発事故後、本来であれば、国が責任を持ってこうした汚染調査を
広範囲にわたって細かく行い、その測定結果によって、
住民への避難や移住、補償などを細かく行うべきだったと思います。

しかし、事故から半年経っても1年経ったも、福島県以外ではほとんど航空機モニタリングに
よる測定による試算などのざっくりとしたものしか出て来ません。

このままでは、本当の実態が見えてこない、なかったことにされてしまう、
との思いが募っていきました。
そこで、国がやらないなら自分たちがやろう!と、
手弁当でこの土壌測定プロジェクトを立ち上げました。



「誰が風評被害を広めているのか」

マップ集によって、どのくらいの放射性物質が土壌に入ってるかということがわかるので、
これを見て心配になる方もいるかもしれない。
で、心配になると、ちょっと冷静じゃなくなる可能性があるんだよね。
そうすると風評被害が生じる可能性もあるよね。それって、みんなで心配したんですか?

というアーサーさんからの質問に、以下のようにお答えしました。

どれくらい汚染があるのか、放射性物質がどのくらいあるのかわからないことが
一番の不安の原因だと思う。
わかるから不安になるんじゃなく、わからないから不安になる。

もしわかれば、それを避けるとか、そこから遠ざけるとか 色々自分たちでできる方法がある。
だけどあるのかないのかがわからなかったら、
「これを食べていいのかな?」「ここにいていいのかな?」
それが一番の不安であり、だからあっちのほうは危ないんじゃない「か?」とか、
これは危険なんじゃない「か?」って考えてしまうことが
風評被害の原因だと考えています。とお話ししました。

アーサーさんからは
「だから、風評被害を作っているのは日本政府ですよね。
風評被害の元をつくっていて、みんなに公表しないってことで結局不安になる人がいる。
ということは、この本は 風評被害につける薬!!」とのコメント。

その後、マップ集の中の食品の章の紹介をしつつ、
畑で作っている農産物は経年変化を調べるとほとんどの農産物は1ベクレル未満を切るような
わずかな測定値になってきていることを紹介。
逆に、森林は除染できていないため、セシウムが環境中を循環しています。
天然のキノコや山菜、それらを食べるイノシシや鹿などの野生動物は、
今後何十年・何百年にわたり命の循環のなかにセシウムも取り込んで
続いていくのだというお話しになりました。

番組の締めくくりとして、アーサーさんから

「僕は、この本を、小学校に教科書として取り入れるべきだと思っているんです。
自由研究の宝庫だし、大人の自由研究を集めたようなもので、
こうやって『市民科学』というものが成り立つという意味で、
小学生から手渡したいなと思う」

という、応援メッセージをいただきました。



なお、この番組は関東以外でも、下記放送局(時間)にて放送されました。 
関東広域圏 文化放送(QR) 17:34 - 17:44 【制作局】
『斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI!』内

山口県 山口放送(KRY) 15:30 - 15:40 『お昼はZENKAIラヂオな時間』内
 
秋田県 秋田放送(ABS) 16:10 - 16:20
 
山梨県 山梨放送(YBS) 16:30 - 16:39
 
香川県 西日本放送(RNC) 16:40 - 16:50
 
高知県 高知放送(RKC) 16:40 - 16:50
 
石川県 北陸放送(MRO) 16:45 - 16:55
 
福井県 福井放送(FBC) 16:40 - 16:50
 
長崎県 長崎放送(NBC) 17:15 - 17:25(2019年4月から)
 
富山県 北日本放送(KNB) 17:50 - 18:00
 
熊本県 熊本放送(RKK) 18:10 - 18:20
 
新潟県 新潟放送(BSN) 21:45 - 21:55

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