【6/29・東京新聞】 山菜の基準値超えの続報! 「身近なところで検査機会を」「地元住民まさか・・・」

【6/29東京新聞による、山菜の基準値超えの続報! そこから見える出荷制限システムの穴⁉】



※写真は、実際に370ベクレル/kgを検出した「コシアブラ」。

■ネットで入手した山菜から基準値超えが次々と発見される

今季、ふくしま30年プロジェクトでは「メルカリ」や「ヤフオク!」「楽天市場」といったネットでの売買を通じて手に入れた22件のコシアブラの測定を行いました。測定したコシアブラのうち、基準値100 Bq/kgを超えたものは6件あり、山形県産4件、群馬県産1件、長野県産1件という内訳でした。
 
その途中経過を東京新聞が取材し、まず6月1日に、『ヤフオク、メルカリなどで放射性セシウム基準値超えの山菜出回る』『まだ警戒必要なのに…国会ではセシウム基準値緩和の議論』として報じました。これは、ふくしま30年プロジェクトの測定結果だけではなく、木村真三准教授(獨協医科大学)が直売所などの店頭で売られている山菜を購入し、それに含まれている放射能を測るマーケットバスケット方式で実施した調査も含まれています。

■続報の「こちら特捜部」で明らかになった、その後の行政の対応

その後の両者の測定結果を取材した続編とも言える記事が、6月29日の「こちら特報部」で報じられました。記事は見開きで、『群馬産の山菜 セシウム基準値超え 原発事故9年、現場から230 km超 地元住民まさか…』『「山形産」「長野産」ネット販売からも検出 「基準緩和でなく」 身近な所で検査機会を』という見出しです。
 
「こちら特報部」の前半の記事では、木村准教授が群馬県の直売所で購入したコシアブラとワラビから基準値超の放射性セシウムが検出され、それを販売した道の駅と出荷者に取材をしています。群馬県内ではコシアブラには出荷制限がありますが、ワラビには出荷制限がかかっていません。
 
群馬県の対応としては、今回のワラビの採取地近くで独自に採取、それを測定をした結果、基準値を越えなかったので規制をかけるには至らなかったとあります。そのかわり、道の駅と採取者に販売前の測定を要請したそうです。
 

■新型コロナ対応と放射能対策の相似点=国はガイドラインは示すのみで、具体的な対応は自治体まかせ

この行政が出す出荷前の測定要請は、行政側の責任でコントロールするのではなく、新型コロナウイルス感染症でも見られた、それぞれが「自衛」せよというものと変わらないと感じます。日本は、PCR検査を絞り込むという独自路線を突き進んでいますが、新型コロナウイルス感染症について、海外のスタンダードはPCR検査によって国内全体の感染率を把握して対応していくものです。これと同じように、長期に放射性セシウムの影響を受ける山菜も、網羅的にきめ細かく調査を行うのが妥当ではないかと感じます。
 
実際、出荷制限についての食品検査は、PCR検査と同じようなシステムになっています。国は検査のガイドラインは示しますが、実際の検査計画については地方自治体が作成するのです。これでは、その自治体のやる気次第で、検査品目や検査地域が決まると言っても過言ではありません。

 ■改めてあぶり出された、行政の「ルーティンワーク」。問題点を知った私たち市民が働きかけていくしかない

『図説・17都県放射能測定マップ集+読み解き集』及び『同 増補版』では、ここで述べてきた山菜や野生きのこの出荷制限の問題を指摘しています。
今回の木村准教授やふくしま30年プロジェクトが行った、山菜を購入しての測定、そして基準値超があった場合、行政対応を求めて通報するという行動により、その問題点が改めて裏付けられたと思います。
 
行政は要望や問い合わせがないと、問題が無いとしてルーティンワークを繰り返します。しかし、今回の山菜の放射能のような問題点が可視化されたことをきっかけに、それを改善するよう要望を出していくことで、システムがブラッシュアップされる可能性が高まります。前例踏襲を良しとする行政のシステムについて、問題点を知った大勢の市民が働きかけを行い、改善を促していけたらと思います。



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