2021年の3.11 市民測定の記録


 さっぽろ市民放射能測定所はかーる・さっぽろは、北海道でいち早く福島の子どもたちの長期保養を始めた「福島の子どもたちを守る会・北海道」(以下、福島子ども・北海道)の測定部門として2012年5月に活動を始めました。当時、福島子ども・北海道の事務所であり、豊平区西岡地域のお茶の間として多くの方が集まるコミュニティカフェBALOの一角に測定器を置き、北海道の子どもたちを始め、移住や保養で北海道にやって来る子どもたちにより安全な食品を食べてもらいと、北海道産の食品を中心に測定をすすめました。2012年暮れのクリスマス会で、福島市から避難移住してきた小学校1年生のFちゃんの言葉「みんなのために頑張ってください。はかーるさん、」は、今も測定スタッフの心を励ましてくれています。

 スタッフには測定の専門家はいませんでしたが、「真実を知りたい。真実を知らせたい」という一途な思いで、高木仁三郎市民科学基金や北海道大学環境大学院の渡邊准教授の支援をいただき、測定スキルを含め機器の測定精度を上げる努力を重ねてきました。

 2013年には、福島子ども・北海道から独立してコミュニティカフェBALOの経営と測定所の運営をすることになりました。

 放射性物質による汚染の現状、環境や健康への影響、核の商業利用における社会的な問題等の学習会を開催するなど、地域社会の中で私たちなりの情報発信を続けてきました。東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故による放射能汚染は今後も続くのだから、2021年3月をピリオドではなく、継続する時点として、息の長い活動を続けていこうとしていました。

 しかし、昨今の新型コロナウイルスの影響で高齢の大家さんが建物の売却を決めたのです。コミュニティカフェBALOは2020年10月に閉店し、はかーる・さっぽろは札幌市西区に移転しました。会議形式で20人、椅子だけなら30人も収容できた旧はかーるに比べ、新はかーるは6人でもぎゅうぎゅうの小さなアパートとなりました。それでも、測定器を置きこれまでとさほど変わらない測定環境を整えることができました。

 震災から10年が経ち、放射性物質による環境汚染への関心は薄れています。しかし、セシウム137の半減期はおよそ30年です。汚染は驚くほど低減しないのです。いまも、東日本16都県の放射能汚染を受けた山菜やきのこからは数万㏃/kgを超える放射性セシウムが検出されます。

 子どもたちが安心して暮らせるようになるその日まで、はかーる・さっぽろは活動を続けていきます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


2021年の3.11 市民測定の記録