2021年の3.11 市民測定の記録

 札幌の豊平区に住むようになって間もなく(1985年冬)近くの西岡公園(旧水源池)で突如ボート場の建設が始められました。

 この公園は月寒川を堰きとめ作られた旧水源池と湿原が森に囲まれ、クマゲラなど希少種も居て、トンボは北海道で一番種類が多く、水芭蕉やヘイケボタルなど季節毎に楽しめる、40ヘクタールの自然豊かな公園です。バードウォッチングや動植物の観察、水遊びなどで親しまれてきました。

 驚いた地域のスキーや子育てのグループが会を作り、思いつく限りの反対運動を始めました。そして野鳥の会など多数の自然保護の団体とつながり連絡会を作って運動し、三ヶ月で中止に追い込みました。同時に人工物をできるだけ作らない自然公園にする目的で8項目の陳情を確約させました。

 その後も月寒川の護岸工事やパークゴルフ場建設など次々と開発問題が起こりましたが、連絡会は相手との話し合いや反対運動によって阻止することができました。

 2008年西岡公園は念願かなって総合公園から風致公園に変更されました。今は新しく作った「自然パネル」が引き継ぎ公園のあり方に関わっています。



 会が継続しているから出来たことです。何でもそうですが、関心を持って注視していることが必要だと思います。イスラエルによるパレスティナへの民族浄化や日本による沖縄への暴挙である基地問題など他にも続々と襲ってきますが関心を持ち続けなければいけません。



 環境問題に関わっているうち、様々な方とも会え、多くを学ぶことができました。その中でも原子力情報室の故高木仁三郎さんの講演を聞き、とても身近なものとしてもっと知る必要があると思いました。原子力情報室、ストップザもんじゅの会、美浜の会、アヒンサーなどから情報を頂き、署名を集めたり、毎年の年賀状に原発反対と印刷したり、西岡公園の自然を守る会の機関誌に情報を載せたりしましたが、原発の仕組みは難しく、私の手には負えないと思っていました。

 ですから、まさか放射能測定所に関わることになるとは思いませんでした。

 たまたま近くに「はかーるさっぽろ」が出来たのでお手伝いに入りました。9年間はあっという間でした。測定所は昨年秋に西区の琴似に引越しました。西岡よりずっと便利な所です。

 西岡の測定所ではカフェも併設していましたので、訪れる人に原発のことを知ってもらおうと思いましたが、あまり思ったようにゆかず、心残りになりました。



 継続は難しいことですが、とても重要です。できるだけ続けなければと思います。また、測定所では生活クラブ員による原発学習会が開かれていました。色々な教材の中で「みんなのデータサイト」の放射能測定マップ集も使いました。難しいが解りやすくとても良い教材です。今も近くの地区センターで続けていますが、メンバーは学んだことで自分達に何ができるか模索しています。



ちなみに市民による放射能測定は日本と言う特殊な国では絶対必要です。2011年の原発災害の時、娘の元にインターネットを経由して欧州等から次々とかなり正確な情報が寄せられていましたが、一方、日本のメディアが凡そ使い物にならなかったことを忘れてはいけません。民主党政権下の当時でさえ、あれほど隠蔽されました。市民が正確なデータを自分で得る手段を持つことは大切です。

特に地殻の変動が活発になっている現在、常に原発を警戒していなければなりません。小さな測定所ですが、今後ますます必要になる存在だと思います。



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2021年の3.11 市民測定の記録