企業の社会的責任
この測定室は一民間企業の社会貢献の一環として2012年6月に開所しました。当初は放射能測定室と名付けたいと思っていましたが、周囲の放射能に対する拒否反応があった為にただの測定室と名付ける事になりました。
原発事故後に国や地方自治体・官公庁主導でチェルノブイリ原発事故を教訓にした対策が取られると思っていましたが、その動きは見られずに隠蔽する動きが見られる有様。それだけに留まらず震災瓦礫を全国にばら撒き焼却処分するという世界の原発事故処理に逆行する日本の動きに不信をもち、弊社地所や従業員・株主の安全を守る為にシンチレーション式測定器を導入しました。弊社は土地所有会社なので、所有地の放射能汚染は死活問題になると最悪を想定しての行動です。その当時大阪で同様の動きをしている企業を探してみましたが見当たらず、危機感を覚えた一般市民の皆様だけが行動していました。
関西圏では京都で最初に市民測定所が発足する動きがあったので個人としてそこのメンバーになり最低限の知識を学習し、会社の導入機器選定に多大な影響を受けました。また関東には既に多数の市民測定所が設立運営されていたのでそちらへも勉強に伺いお世話になりました。
その後、シンチレーション式機器では関西圏の検体測定に限界を感じ、2013年5月にゲルマニウム式測定器の導入をしました。それと殆ど同時に関西圏でも各地に市民測定所が設立され、2013年7月7日、市民測定所関西ネット(その後西日本ネットワーク)に弊社測定室もその一員として参加する事になりました。個人団体では資金面での負担が大きい為、社会貢献としてバックアップ出来ると確信したからです。
主な役目は、各市民測定所で測定したけれども測定結果に疑問を持つ検体のクロスチェックです。
シンチレーション式機器では判別出来ない微妙な結果を精査する事で、依頼者に安心して貰える様になったと自負しております。
その後も機器についてはHSFを導入し、それを西日本地域の各市民測定所に貸し出して現状の放射線量を測定記録して次の原発事故に備える準備をしています。
その他測定では社外測定協力者が主導して大学教授と合同で論文作成をするという快挙もありました。
現状ではコロナ禍の為に私が日本へ出張して測定する事が一年以上も出来ずに悔しい思いをしています。
原発事故の要因を含め、政治家と官僚の能力不足問題が災害からの復旧に最悪に近い程の酷い悪影響を与えていると思っています。
今の自民公明を主体とする原子力村を擁護推進する日本の体制では近い将来に再度原発事故が発生すると予想していますが、弊社測定室は出来る限り西日本圏市民測定所のバックアップ基地としての役割を全うしたいと思っています。