2021年の3.11 市民測定の記録

「何を食べさせたらいいのか…」放射性ヨウ素がホウレンソウから検出、というニュースを聞き、私は混乱した。娘たちは9歳と5歳。放射能も怖かったけれど、娘たちに「残さないで食べなさい」「感謝して食べなさい」と言いながら「この食材は汚染されていないだろうか…」と思う瞬間が嫌だった。あたりまえのしつけを、心からの言葉でしたかった。
 「給食を守れば、子ども達を少しでも守れるのでは」と考えた。まずは地元北広島市で、ひとりでレポート形式の要望書を作り提出。目立った動きが見えない中、同じように給食を心配している札幌市のお母さん方とつながり、札幌市あてに給食食材の放射能測定を求める署名を集めた。署名は9日間で5108筆という驚異的な早さで集まり、市議会やメディアでも取り上げられた。その後札幌市は月2検体の給食食材検査を開始、現在まで続いている。

 「心配になったものを自分たちで測れればいいのに…」と思っていた時、市民放射能測定所の準備会立ち上げの話を聞いた。すぐさま参加し、だんだん大きくなるお腹で札幌へ通った。機器の選定、測定器を置ける場所探し、寄付金集め、広報など、またたく間に時間が過ぎた。  2012年5月、長男が生まれた。ほどなくして、はかーる・さっぽろも開所。赤ちゃんを連れて週に1~2度、はかーる・さっぽろへ通う生活が始まった。粉ミルクが心配だと思えば粉ミルクを測り、いただきものの産地が気になれば測り… その積み重ねが、気がつけばデータの積み上げになっていた。
 今は、測定スタッフを続ける一方、北広島市議会で議員として活動している。学校給食についても、食の安全を求める子育て世代とともに学び、現場の方と意見を交換してきた。
未来は今と地続き。少しでもマシな未来を見たいから、今日もまた一歩。


2021年の3.11 市民測定の記録