測定活動を振り返って-多くの出会いと支えに感謝
阪神・市民放射能測定所は、原発事故から2年後の2013年5月に開所しました。きっかけは、西宮市に母子避難して来ていたお母さん方との出会いでした。関西で原発事故に自分たちの問題として向き合い、避難移住者を支えるにはどうすればいいか考え、測定所に行きつきました。
子どもたちの命を守りたい、被ばくさせたくないという強い決意に心を打たれたというのが、直接的なきっかけでした。
幸い、関西には、1年前に京都市で市民測定所が開設していたことや、奈良市で測定所を立ち上げる話もあり、また、尾道測定室も開設していたこともあり、機種選定から測定結果の見方など相談に乗っていただきながら、開設することができました。
京都の市民測定所の呼びかけで、西日本の測定所のネットワークができ、気軽に相談しながら測定所の運営を行ってきました。
みんなのデータサイトとの出会いは、私たちの測定技術の力量を上げていくことになりました。特に、基準玄米の測定は、測定精度を確認でき、測定に自信を持つことができました。
測定所を継続して来てよかったことは、何といっても、避難移住者をはじめとする多くの原発事故に心を痛める人たちとの出会いです。そして、被害をなかったかのようにしようとする政府の姿勢に対して立ち向かい、避難の権利や汚染の責任を求める人々との出会いです。
私たちが、これまで、測定所を継続できて来たのは、こうした方たちの支えがあったからこそだと思っています。
今はそうでもありませんが、開設当時から数年間は、測定所が、放射能被害に不安を持つ方々の本音の言えるほっとする交流の場となりました。
中には、汚染が怖くて、食物がほとんど食べられなくなってしまい、相談に見えた方もいました。
「はかる・知る・まもる」という測定活動が、何が真実で、何が真実でないかを知る場となり、不安をある程度取り除けたようでした。
私たちも市民測定所が果たす役割を実感する場となりました。
また、有機無農薬栽培農家の方との出会いもあり、安全・安心な食物確保の場も提供してきました。
測定を通じで、放射能を可視化し、データを蓄積し、公開していく活動は、今後、健康被害などの根拠を提供し、隠された真実を告発する取り組みになっていくのではと思います。全国の市民測定所のネットワークであるみんなのデータサイトが、今後とも、継続・発展してほしいと願っています。